改正貸金業法のアコムへの影響

改正貸金業法がアコムに与えた衝撃と経営安定化の関係

サラ金と呼ばれてイメージの悪かった貸金業を管理する目的で作られたのがいわゆる貸金業法で、サラ金から消費者金融と呼ばれるようになり、イメージの向上にも役立ちましたが、法的にはまだまだ不備な部分があり多くの問題が残されていて、業界の体質的にはなかなか脱皮できない状態が続きました。またその後の社会情勢の変化もあり新たな問題も出てくるようになって、いくつかの改正を経て2006年に成立したのが現在の改正貸金業法です。

この改正では、従来利息制限法と出資法で差があった上限金利(この間の金利をグレーゾーン金利と言う)を撤廃して利息制限法の20.0%を上限金利とし、これ以上の金利での契約が出来なくなりました。またもう1つの改正点は過剰貸付けの抑制(総量規制)と呼ばれるもので、原則として融資の上限が年収の3分の1までとされたことです。この他貸金業協会の自主規制、夜間および日中の厳しい取立ての規制、生命保険金による返済の禁止、特定公正証書作成の委任状取得の禁止などが含まれています。
(⇒改正貸金業法について

この改正によって、貸金業法に不備とされていた問題点や、社会情勢による新たな問題に対応できるようになりました。しかしこの改正では利息の上限が明記されて、従来のグレーゾーン金利部分は過払いとして返還請求できるという認識が広がったこと、および総量規制により従来顧客であった一部の人には貸し出しが出来なくなったことなどで、消費者金融会社には経営上の大きな影響を与えることになりました。また利用者側にも従来は借りられたものが借りられなくなるなどの影響が出る事になりました。

アコムも消費者金融である以上、同じように経営的に大きな影響を蒙ることになりました。特に過払いの返還請求は貸倒引当金を大きく積み増ししなければならず、財務基盤の悪化を招くことになってしまいました。そこでこの経営悪化を解消するため、提携関係にあった三菱UFJフィナンシャルグループが株式公開買い付けを行って救済しました。この株式公開買い付けによって三菱UFJフィナンシャルグループの持株比率は40%になったためアコムは三菱UFJフィナンシャルグループの連結子会社になっています。

このように経営悪化も有りましたが、良く考えれば、この法改正はアコムは昔のサラ金の悪い体質を完全に脱して、優良企業になるための1つのポイントではないかと考えられます。子会社となったとはいえ相手は巨大銀行グループです。アコムの信用力は弱まるどころか、ますます大きくなったと考えられます。ただし、利用者側から見ると、従来は審査が通っていた人が、優良企業になるにしたがって審査が難しくなるような傾向があるためその辺りの救済方法も整備されるべきだと考えます。

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